
冬休みは他の長期休暇と比べて短く、年末年始という特別な行事や家族の時間が重なります。非受験学年の生徒にとっては、生活リズムそのものが変化しやすく、まとまった学習時間を確保することが難しい時期でもあります。そうした中で、「講習に行かなかったから勉強が遅れてしまうのではないか」と不安を感じる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、冬期講習に参加しなかったからといって、学びが止まってしまうわけではありません。むしろこの時期だからこそ、家庭だからできる学びがあります。今回はその考え方を「家庭内冬期講習」という形でお伝えしたいと思います。
家庭内冬期講習とは何か
家庭内冬期講習とは、塾と同じことを家庭で再現する、という意味ではありません。新しい教材を次々にこなしたり、長時間机に向かわせたりする必要もありません。大切なのは、「短い時間で、学びのリズムを整えること」です。
家庭内冬期講習の基本は、次の三つだけです。
一つ目は、時間を決めること。
一日三十分でも、十五分でも構いません。「毎日この時間は机に向かう」という枠を作ることが重要です。時間の長さよりも、継続性が意味を持ちます。
二つ目は、内容を絞ること。
一教科、あるいは一単元だけに限定します。「冬休み中に全部やる」という発想は、この時期にはかえって逆効果になりがちです。
三つ目は、振り返りの時間を入れること。
学習後に五分程度、「今日は何をやったか」「どこが難しかったか」を言葉にするだけで構いません。保護者の方が評価を下す必要はなく、話を聞くだけで十分です。
学年別・家庭でできる具体的な取り組み
小学生の場合
小学生にとって冬休みは、学習よりも生活体験が増える時期です。だからこそ、学習は「戻り学習」を中心に考えます。漢字や計算など、これまで習った内容の中で、つまずきやすい部分を少しだけ確認します。一日十五分、問題数も少なめで構いません。間違えた問題に印をつけるだけでも、「自分はどこが苦手なのか」が見えてきます。
中学生(非受験学年)の場合
中学生になると、学習内容の抽象度が一気に上がります。冬休みは、新しいことを詰め込むよりも、理解が止まっている単元を一つ見つける時間にしてほしいと思います。
英語であれば教科書の音読と意味確認、数学であれば一学期や二学期につまずいた単元を一つだけ復習する。大切なのは、「全部やらない」と決めることです。
高校生(非受験学年)の場合
高校生になると、本人なりに「分からないまま進んでいる単元」がはっきりしてきます。冬休みは、それを特定すること自体が大きな意味を持ちます。新しい問題集に手を出すのではなく、ノートの整理や解き直しを中心に、「なぜ分からなくなったのか」を振り返る時間にしてみてください。
親が気をつけたい声かけ
家庭学習で最も難しいのは、声かけの部分かもしれません。
「せっかく休みなんだから勉強しなさい」「時間があるんだからもっとできるでしょう」といった言葉は、知らず知らずのうちに子どもを追い詰めてしまいます。また、兄弟や他の子と比べることも、学習意欲を下げる原因になりがちです。
冬休みは、成果を求める時間ではなく、観察の時間です。どの時間帯なら集中できるのか、どんな声かけには反応しにくいのか。そうしたことに気づくこと自体が、次につながる大切な材料になります。
冬休みは「次につなげる準備期間」
冬休みに劇的に学力を伸ばす必要はありません。大切なのは、
・どの教科のどこでつまずいているのか
・どんな学習方法が合わないのか
・家庭での関わり方に無理がないか
こうした点を整理することです。それができれば、春からの学びは確実に変わります。
聡生館としてお伝えしたいこと
冬期講習に参加しなかったことは、決して後ろ向きな選択ではありません。ご家庭での学びを大切にし、その上で必要なときに外部の力を借りる。その順番で十分だと、私たちは考えています。
家庭内での取り組みを進める中で、「このままでいいのだろうか」「一度整理してみたい」と感じたときには、いつでもご相談ください。
聡生館は、必要なときに、必要な距離で寄り添う学びの場でありたいと考えています。
-
スプラウツ「間違いを恐れない子育て — 安心が挑戦を生む」2025/10/03 -
聡生館【秋から伸びる子の共通点】得意を伸ばす — 自信と意欲を育む2025/09/12 -
スプラウツ【秋から伸びる子の共通点3】得意や興味を大切にする2025/09/10


