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2025/12/16
スプラウツ
特性を持ったお子さんへの「適切な検査」とは ―― 年齢別に考える検査の選び方と、検査法の正しい理解 ――

検査は「診断のため」ではなく、「理解のため」にある

(※この導入部は前回と同趣旨のため簡潔にしています)

検査とは、子どもを評価するためのものではありません。
**その子の理解の仕方・学び方・つまずき方を知るための“道具”**です。

特性のあるお子さんにとって、
「なぜできないのか」ではなく
「どうすればできるのか」
を考えるための出発点になるのが、検査です。


検査を受けるべき年齢の考え方

(※年齢別の考え方は前回内容を踏襲)

重要なのは、
年齢で機械的に決めるのではなく、困り感の内容に応じて検査を選ぶことです。

  • 未就学期:発達全体のバランスを見る

  • 小学校期:学習や認知特性を見る

  • 思春期以降:自己理解・二次障害予防の視点を含める

そのため、**「どの検査を選ぶか」**が非常に重要になります。


主な検査法の種類と特徴

ここからが、今回もっとも大切なポイントです。
日本で実際に多く使われている検査を、目的別に整理します。


① 田中ビネー知能検査(田中ビネーV)

田中ビネー知能検査は、
日本で長年使われてきた代表的な知能検査です。

特徴

  • 年齢尺度を重視した構成

  • 1対1で行う個別検査

  • 「知能年齢(MA)」と「IQ」が算出される

向いている年齢

  • 幼児〜学童期

  • 発達の遅れが疑われる場合

  • 全体的な知的水準を把握したい場合

メリット

  • 直感的に理解しやすい

  • 知的障害の有無や程度の判断に用いられることが多い

注意点

  • 凹凸(得意・不得意の差)はWISCほど詳しく出ない

  • 学習支援の具体策を立てるには情報がやや粗い場合もある

👉 「知能全体の水準」を把握する検査と考えると分かりやすいでしょう。


② WISC(ウィスク)知能検査(WISC-V)

WISCは、現在の教育・支援現場で最も活用されている知能検査です。

特徴

  • 言語理解

  • 視空間

  • 流動性推理

  • ワーキングメモリ

  • 処理速度

という5つの認知指標から構成されます。

向いている年齢

  • 小学生〜高校生

  • 学習につまずきが見られる場合

  • 発達障害(ASD・ADHD・LD)を疑う場合

最大の強み

  • 認知の凹凸が非常に明確に分かる

  • 学習方法・環境調整に直結しやすい

スプラウツでは、
**「支援につなげる検査」**として、WISCの結果を重視する場面が多くあります。


③ WPPSI(ウィプシー)知能検査

WPPSIは、WISCの未就学児版にあたる検査です。

向いている年齢

  • 2歳半〜7歳程度

特徴

  • 遊びに近い課題構成

  • 幼児期の認知発達の特徴が分かる

ただし、結果は成長によって変化しやすいため、
「固定的に捉えない姿勢」がとても重要です。


④ 発達検査(新版K式発達検査など)

発達検査は、
知能というより「発達のバランス」を見る検査です。

評価される領域

  • 姿勢・運動

  • 認知・適応

  • 言語・社会

向いているケース

  • 未就学児

  • 発達の偏りが気になる場合

  • 医療・療育機関での初期評価

田中ビネーやWISCと併用されることも多い検査です。


⑤ 行動・特性評価(質問紙検査)

ASDやADHDの特性を把握するために、
保護者・教師が回答する質問紙検査があります。

  • SDQ

  • Conners

  • ASSQ など

これらは
診断補助・特性理解のための材料であり、
単独で判断するものではありません。


検査は「受けた後」が本番です

どの検査にも、

  • 得意なこと

  • 苦手なこと

  • 限界

があります。

大切なのは、
結果をどう読み、どう日常に落とし込むかです。

  • 家庭での声かけ

  • 学校・フリースクールでの配慮

  • 本人への伝え方

ここまで含めて初めて、検査は意味を持ちます。

スプラウツでは、
検査結果を「評価表」で終わらせず、
その子の学びと生活に翻訳することを大切にしています。


最後に ― 検査は「可能性を測るもの」ではない

検査は、
子どもの限界を決めるものではありません。

むしろ、
「この子が伸びやすい道」を照らすためのものです。

迷いがあるときこそ、
正しい検査を、正しい視点で活用することが、
子どもと家庭を守る力になります。


🌱
by Dr.Kazushige.O
(一般社団法人 自在能力開発研究所/聡生館&Sprouts フリースクール代表)

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