
12月に入り、街が少しずつ年末の空気へと切り替わっていくなか、
スプラウツにも「この一年、うまく動けなかった」「何も変わらなかった」という声が届きはじめます。
不登校の子どもたちにとって、一年を振り返ることは時に苦しさを伴います。
学校へ行けなかった日々。やろうと思っても動けなかった朝。
周りの成長と自分の迷いを比べてしまい、胸がぎゅっと締めつけられる瞬間。
しかし――。
振り返りとは、できなかったことを数える時間ではありません。
“今のあなたがどんな思いでここまで来たのか” を丁寧に確かめ、
“来年をどう迎えたいか” をそっと描いてみるための時間です。
今日は、スプラウツが大切にしている
「一年のふり返り方」と「来年へ希望を育てる方法」
についてお伝えします。
■ 1|今年できなかったことではなく、「今年を生き抜いたあなた」から始める
不登校の振り返りは、どうしてもマイナスに目が向きがちです。
しかし、スプラウツでは最初に必ずこう伝えます。
「今年を生き抜いたあなたは、それだけで価値がある」
学校に行けなかった日々にも、
不安に押しつぶされそうになりながら自分を守ろうとした日々にも、
あなたなりの努力や選択がありました。
・朝起きられなかったけれど家から出られた日
・オンラインの画面だけは開けた日
・スプラウツに来られた日
・来られなかったけれど、また来ようと思った日
どれも“前へ進もうとしていた証”です。
振り返りの第一歩は、
「できたこと」ではなく「頑張ってきた自分の気持ちを認めること」
から始まります。
■ 2|この一年の“心のメモ”を拾い集める
スプラウツでは、振り返りの時期になると
子どもたちにこんな質問を投げかけます。
-
今年、心が少し軽くなった瞬間はあった?
-
逆に、しんどくなったのはどんな時?
-
誰かのどんな言葉が嬉しかった?
-
自分で「がんばった」と感じた瞬間は?
これは、成績の振り返りではなく
「心の動き」の振り返りです。
不登校の根底には、決して“怠け”など存在しません。
心の重さ・環境のストレス・自己理解の難しさなど、
多くの要因が重なり合って起こります。
だからこそ、
一年を“心で振り返る”ことが大切なのです。
心のメモを拾い集めていくと、
自分でも気づいていなかった
「これならできそう」「この瞬間は安心できた」
というヒントが必ず見つかります。
■ 3|来年の希望は“大きな目標”ではなく“きっかけ”から始まる
来年への希望を描くとき、
多くの子どもたちは
「学校へちゃんと行けるようになりたい」
「勉強を頑張りたい」
と“大きな目標”を掲げたくなります。
けれど、スプラウツではあえて
目標よりも“きっかけ”をつくることを重視します。
なぜなら、
人は「行動 → 自信 → 次の行動」の順で変わるから。
いきなり大きな変化を求めると、
できなかった時に自己否定が強まり、
逆に動けなくなってしまいます。
だから来年は、こんな小さなきっかけで十分です。
-
月に1回だけスプラウツに来る
-
朝10時に起きられたら自分を褒める
-
外に5分だけ出てみる
-
好きなことを「やってみる日」をつくる
-
勉強は1ページだけでいい
-
誰かに一言、気持ちを話してみる
こうした“小さなきっかけ”が、
やがて変化の土台となり、
自信の芽を育てていきます。
■ 4|希望を生むのは「誰かと共有すること」
人は、自分の気持ちを誰かに受け止めてもらえるだけで、
心がふっと軽くなることがあります。
スプラウツに来る生徒が
「ここだと落ち着く」
「話すだけで楽になる」
とよく言うのは、
安心できる場では
“自分のペースのままでいていい”
と感じられるからです。
来年に向けて希望をもつためには、
自分の想いを誰かと共有することがとても大切です。
-
スプラウツの先生に話す
-
家族に思いを伝えてみる
-
ノートに気持ちを書いてみる
-
SNSではなく“信頼できる相手”に一言だけ伝える
共有することで、気持ちは整理され、
次の一歩を踏み出す力が湧いてきます。
■ 5|スプラウツは「変わる」ではなく「育つ場所」
不登校の子どもたちが一番苦しむのは、
“今の自分ではダメだ”と思ってしまうことです。
でも本当は、
変わらなければいけないわけではありません。
スプラウツは、
今のあなたのままで、
心の動きを整理しながら、
“育っていくプロセス”を大切にする場所です。
来年、もし一歩動き出せたら、その一歩を一緒に喜びます。
動けない日が続いたら、またそこから一緒に始めます。
大切なのは、
「止まっているように見える時間にも、成長の芽は確実に育っている」
ということ。
スプラウツは、その芽をそっと支え、育てる場所でありたいのです。
■ 終わりに|来年は“あなたのペースでいい”
一年を振り返ると、
「できなかったこと」がどうしても目に付きます。
でも、本当に大切なのはそこではありません。
今年のあなたは、
迷いながらも、
くり返し悩みながらも、
毎日を確かに生き抜いてきた。
その事実こそが、
来年への力になります。
どうか、
来年は“あなたのペース”で動き始めてください。
スプラウツはその歩みを、どんな小さな一歩でも受けとめ、
一緒に前へ進んでいきます。
🌱
by Dr.Kazushige.O
(一般社団法人 自在能力開発研究所 代表理事/聡生館&Sprouts フリースクール代表)
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