
学力・人間力向上のためのブログ
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2025/10/21
🌱 “問い”は心を動かす ― 先生と子どもの対話の力
子どもたちは、答えよりも「問い」を通して成長します。
スプラウツの教室では、子どもに正しい答えを教えるよりも、**「自分で考えるための問い」**を投げかけることを大切にしています。
「どう思った?」「もし自分だったらどうする?」「どうしてそう感じたの?」
そのたった一言が、子どもの心の扉を開くきっかけになるのです。
■ “問い”が生み出す心の動き
多くの子どもたちは、長い間「答えを出すこと」に慣れています。
学校ではテストがあり、正解が明確に決まっている。
でも、人生には“正解のない問い”がたくさんあります。
「友だちと合わないとき、どうしたらいい?」「将来、何になりたい?」――こうした問いには、ひとつの答えではなく、その子なりの答えがあるだけです。
スプラウツでは、この“自分なりの答え”を見つける力こそ、再出発の鍵だと考えています。
だからこそ、子どもたちが安心して考えられるように、「問い」を中心にした対話を続けているのです。
■ “教える”ではなく、“引き出す”対話
教師が一方的に教えるのではなく、子どもの中にある“言葉にならない思い”を引き出すこと。
それがスプラウツの対話の基本姿勢です。
たとえば、ある子が「もう学校なんて行きたくない」とつぶやいたとき。
私たちは「どうして?」とすぐに聞くのではなく、「そう思うのはどんな時?」「その時、心の中で何が起きていた?」と、丁寧に心の奥をたどっていきます。
答えを急がず、沈黙を大切にする。
その沈黙の中で、子どもが自分の感情を見つけ出すことがあります。
“問い”は、子どもの中の“考える力”を静かに呼び覚ますのです。
■ 対話は「心のリハビリ」
長く不登校だったり、傷ついた経験を持つ子どもにとって、誰かと話すこと自体が怖いことがあります。
「何を言われるか分からない」「どう思われるか不安」――そんな気持ちが、心を閉ざしてしまう。
けれど、スプラウツの先生たちは、“安心の中で問いを投げる”ことを大切にしています。
たとえば、勉強の中でも「今日はどこまでやれそう?」「昨日よりやりやすかったかな?」という問いかけを通して、子どもの自己認識を促します。
これは単なるコミュニケーションではなく、心のリハビリのような作業です。
自分の状態を言葉にできるようになることで、少しずつ心が整い、再び前へと進むエネルギーが生まれていくのです。
■ “問い”は信頼の証
子どもは、自分を信頼してくれる大人の前でこそ、本音を話します。
スプラウツのスタッフが投げかける問いは、子どもへの“信頼のメッセージ”でもあります。
「あなたなら考えられる」「あなたの中に答えがある」――
そう信じているからこそ、問いを投げるのです。
問いとは、子どもを試すためのものではなく、
子どもを信じるための言葉なのです。
■ 対話を通して生まれる“自己発見”
問いを重ねていくうちに、子どもたちは少しずつ「自分の考え」を意識し始めます。
「なんで自分はあの時、怒ったんだろう」
「本当は怖かっただけなのかもしれない」
「でも、少しずつ頑張ってみたい」
こうした“気づき”は、先生からの正解ではなく、自分の中から生まれたものです。
それは、子どもが自分の心を信じ始めた瞬間でもあります。
そしてこの“自己発見”こそが、スプラウツでいう「心をひらく学び」なのです。
■ 対話が“学び”を深める
問いは、心だけでなく、学びの場でも力を発揮します。
たとえば国語の授業で物語を読んでいるとき、先生が「この登場人物はなぜこうしたと思う?」と尋ねる。
すると、子どもたちは登場人物の気持ちを想像し、自分の感情と照らし合わせながら考えるようになります。
それは、単なる読解ではなく、“他者の心を感じ取る力”を育てる学びです。
このプロセスは、コミュニケーションや共感力の育成にもつながります。
スプラウツでは、問いを通して“心の知能(EQ)”を育てる教育を実践しています。
それは、知識の詰め込みではなく、“感じ、考える力”を養う学びです。
■ 「わからない」を受け入れる勇気
問いの中には、すぐに答えが出ないものもあります。
「自分のやりたいことって何だろう?」
「本当に友達と仲直りできるかな?」
スプラウツでは、そうした“わからない時間”を大切にしています。
焦って答えを出すよりも、「今はまだ探している途中」と受け入れられること。
それこそが、成長の準備が整ったサインです。
人は、わからない時間の中で、少しずつ自分を見つめ直します。
だからこそ、スプラウツの先生たちは「わからないままでいい」と寄り添うのです。
■ 対話を通じて、“再出発”が始まる
不登校の子どもが再び社会とつながっていくとき、必要なのは“やる気”よりも“安心”です。
安心の中で、自分のペースで考えられること。
その環境が、心を再び外の世界へと開かせていきます。
スプラウツでは、先生との対話の中で「自分の言葉で考える練習」を積み重ねます。
そして、少しずつ「話しても大丈夫」「考えてもいいんだ」と感じられるようになっていくのです。
“問い”は、心を動かすスイッチ。
そして、“対話”は、再出発への道しるべです。
■ 教える側が問われているもの
子どもに問いを投げるということは、同時に教師自身も問われているということでもあります。
子どもに「どう思う?」と尋ねたとき、自分はその答えを受け止める準備ができているか。
子どもの言葉を、自分の価値観で否定していないか。
本当に“対話する”というのは、簡単なことではありません。
でも、問い合う関係の中で、教師もまた成長していきます。
スプラウツは、子どもと先生が**“共に問い、共に成長する場”**でありたいと考えています。
■ 終わりに ― “問い”が生き方を変える
「問い」は、子どもの中に生き続けます。
たとえ今は答えが出なくても、いつかその子が成長したとき、
ふとした瞬間に、「あのときの問い」が心の中で再び響くのです。
「自分はどう生きたいのか」
「本当に大切なことは何か」
その問いがある限り、子どもは迷っても立ち止まっても、また前を向ける。
スプラウツの対話は、子どもの人生に長く残る“心の種まき”です。
私たちは今日も、子どもたちの心に小さな問いを置きながら、
その芽がいつか未来へと伸びていくことを信じています。
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