
未就学児の療育において、「どの療育法を選ぶか」「どんなプログラムを受けるか」は、保護者の方にとって大きな関心事だと思います。
しかし、スプラウツで長年療育に携わってきた立場から、あえてお伝えしたいことがあります。
それは、療育の質を最も大きく左右するのは、方法論そのものよりも、セラピストの“経験値”であるということです。
療育は「正解を当てはめる作業」ではない
療育というと、「この年齢ならこの課題」「この特性にはこの支援」といった、ある種の“型”を思い浮かべる方も多いかもしれません。
確かに、発達段階や行動特性に基づいた理論や枠組みは、療育の大切な土台です。
しかし実際の現場では、同じ年齢、同じ診断名であっても、子どもの姿は一人ひとりまったく異なります。
・ある場面では困りごとが目立つけれど、別の場面では驚くほどの集中力を見せる子
・言葉が少なくても、非言語的な理解力が非常に高い子
・不安が強く見えても、環境が整うと一気に力を発揮する子
こうした姿は、マニュアルだけをなぞっていては、なかなか見えてきません。
経験を積むほど、「未開発の力」が見えてくる
スプラウツ代表の乙幡は、2001年から未就学児を含む多くの子どもたちの療育・学習支援に関わってきました。
その長い経験の中で、強く実感していることがあります。
それは、経験を重ねるほど、「できていない部分」よりも「まだ使われていない力」が先に目に入るようになるということです。
療育を始めたばかりの頃は、どうしても
「何が苦手か」
「どこが遅れているか」
という視点に意識が向きがちです。
しかし、子どもと向き合う時間が長くなるにつれ、次第に見えてくるものがあります。
・この子は、ここを伸ばせば一気に変わる
・今は表に出ていないけれど、確かな芽がここにある
・この関わり方をすれば、能力が自然に立ち上がってくる
そうした**“可能性の輪郭”**は、数多くの子どもたちと向き合ってきた経験の中で、少しずつ磨かれていく感覚です。
療育モデルは「子どもに合わせて変化するもの」
スプラウツでは、特定の療育法だけに固執することはありません。
なぜなら、本当に効果的な療育モデルは、その子の成長に応じて常に変化するものだからです。
初期には丁寧な関係づくりが必要な子もいれば、
環境を整えるだけで自発的に動き出す子もいます。
経験値の高いセラピストほど、
「この子には今、何が必要か」
「次の一歩はどこに置くべきか」
を、細かな行動や反応から読み取ります。
そして、必要以上に先回りすることも、逆に放置することもありません。
ちょうどよい距離感で、力が育つ“瞬間”を待てるのも、経験のなせる技だと感じています。
未就学児期だからこそ、経験がものを言う
未就学児の時期は、発達の幅が非常に大きく、変化も速い時期です。
昨日できなかったことが、今日突然できるようになることも珍しくありません。
この時期に大切なのは、
「できる・できない」を固定的に判断しないこと
そして、今は見えていない可能性を、信じて待てる大人がそばにいることです。
経験値の高いセラピストは、
「今の姿がすべてではない」
という前提で子どもを見ています。
だからこそ、焦らず、比べず、
その子のペースで力が立ち上がる道筋を描くことができるのです。
スプラウツが大切にしていること
スプラウツの療育は、
「訓練する場」でも
「できないことを矯正する場」でもありません。
ここは、
子どもが本来持っている力が、安心の中で育っていく場所です。
2001年から積み重ねてきた経験の中で、私たちは何度も目にしてきました。
「この子は難しいかもしれない」と言われていた子が、
適切な関わりと時間によって、大きく成長していく姿を。
未就学児期の療育は、将来を決めつけるためのものではありません。
むしろ、可能性を狭めないための、大切な土台づくりです。
スプラウツでは、これからも一人ひとりの子どもと丁寧に向き合い、
その子の中に眠る力が自然に目を覚ます療育を続けていきます。
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