
新しい年を迎えると、
私たちは自然と「これから」を考え始めます。
今年はどう生きようか。
このままでいいのだろうか。
何かを変えたほうがいいのではないか。
けれど、そうした問いに向き合おうとすると、
心や体が先に疲れてしまうことも少なくありません。
特に、不登校という経験を抱えている子どもたち、
そしてそのそばにいる保護者の方にとっては、
「前に進む」という言葉そのものが、
重く響いてしまうことがあります。
スプラウツに通ってくる子どもたちの多くは、
決して怠けているわけではありません。
むしろ、とても真面目で、
自分なりに精一杯頑張ってきた子たちです。
それでも、
ある時から心や体が動かなくなってしまった。
学校に行こうとすると苦しくなる。
朝が来ること自体が怖くなる。
そうした状態は、
「やる気」や「根性」の問題ではありません。
時間の流れが、どこかで止まってしまった
その結果として起きていることが、ほとんどです。
周囲は進んでいるように見えるのに、
自分だけが取り残されている感覚。
この焦りと不安は、
想像以上に心を消耗させます。
そんなとき、
私たちは無理に「元に戻そう」とはしません。
スプラウツが大切にしているのは、
「やり直し」ではなく、
**「生き直し」**という考え方です。
生き直しとは、
前に進むことだけを意味しません。
立ち止まること。
休むこと。
自分の感覚を取り戻すこと。
それらすべてが、
生き直しの大切な一歩です。
ここで一つ、
「メメント・モリ」という言葉について触れてみたいと思います。
ラテン語で「死を想え」という意味を持つこの言葉は、
少し重たく聞こえるかもしれません。
けれど本来のメメント・モリは、
人を追い詰めるための言葉ではありません。
人生には限りがある。
だからこそ、
今という時間は、丁寧に扱っていい。
この視点は、
不登校という経験をしている子どもたちにとって、
とても大切な意味を持ちます。
「人生は限られているのだから、急がなければならない」
ではありません。
「人生は限られているのだから、
今は回復のために時間を使っていい」
という許可なのです。
スプラウツでは、
学びを「教科書の勉強」だけには限定していません。
・安心して過ごせる場所を持つこと
・自分の気持ちに気づくこと
・人との関係を、少しずつ結び直すこと
これらもすべて、
生きていくための大切な学びです。
生き直しの学びは、
大きな変化から始まることはほとんどありません。
今日は来られた。
少し話せた。
誰かの言葉に、うなずけた。
そんな小さな出来事の積み重ねが、
やがて「自分の時間」を取り戻していきます。
もし今、
「このままでいいのだろうか」と感じているなら、
その感覚は、あなたが生きている証拠です。
止まってしまった時間があるなら、
そこから、静かに生き直せばいい。
メメント・モリからスタートする学びは、
「急ぐ学び」ではありません。
今日という一日を、
自分の時間として使っていい
そう自分に語りかけるところから始まります。
スプラウツは、
その時間を一緒に過ごす場所でありたいと考えています。
🌱
by Kazushige.O
(一般社団法人 自在能力開発研究所/Sprouts フリースクール代表)
-
聡生館【学習習慣のコツ】「やる気が出ない時の工夫」2025/09/19 -
聡生館日曜日、25日のロボット教室は満席でした。2025/05/26 -
聡生館学びの深さは“問い”の深さで決まる — 考えることから「自分の学び」が始まる —2025/10/27


